報告 日本マルタ友好協会 2020総会

出席メンバーの集合写真

「日本マルタ友好協会」の2020年度総会が、730日に衆議院第一議員会館(東京・千代田区)で開催された。

本協会は、日本とマルタの民間レベルにおける友好親善の機会構築および促進を目的として設立され、20207月現在で個人会員64名、法人会員4法人が在籍している。

マルタ共和国は、また、天才画家カラヴァッジョが匿われるなど、美術の世界にも関わりが深く、近年では日本との芸術文化交流が盛んになっている。

しかし、今年2月に発生した新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な感染流行の影響のため、日本とマルタの間の民間レベルの往来は停止となり、せっかく右肩上がりの発展を見せていた両国の友好が後退してしまう可能性が危ぶまれていた。

松原仁 衆議院議員

冒頭では、理事長の瀬戸健一郎氏が挨拶し、厳しい状況にも関わらず多くの会員が出席してくれたことに感謝の意を表した。続いてマルタ議員連盟を代表して衆議院議員の松原仁氏が挨拶し、同連盟の発起人である西村康稔氏(現・経済再生担当大臣)がコロナ対策のために出席できず、代理として自分が出席したことを説明した。また、現在の厳しい状況下にも関わらず、両国の友好のために奔走する友好協会の努力を称え、激励した。

その後、各議案が承認されたが、中でも本年の活動方針案については、港区白金にマルタ大使館の開設準備が進められていること、元大統領のジョージ・ヴェラ閣下が昨年の来日に伴って行われた歓迎レセプションを称賛されたことなど、新たな情報が展開された。

閉会後は、友好協会と観光局より、それぞれ特別講演が催された。友好協会の水谷耕平事務局長からは、「マルタ共和国の大学誘致策について」、観光局の遠藤真吾氏からは「コロナ禍におけるマルタの観光政策について」と題して講演が披露された。

会議中の風景

今回の総会を総括すると、やはり新型コロナの影響の大きさを痛感させられるものとなった。とくに観光が産業の大半を占めるマルタにとっては、一刻も早い現状打破が必要と言えるだろう。しかしながら、民間の渡航禁止は715日に解除されたばかりで、本格的な復活に向けては今後も両国の努力が必要なのは間違いない。

この状況下において、奇しくも「日欧宮殿芸術祭2020」(94日〜6日)が開催される。渡航禁止解除後においては最初の日本マルタ交流事業であるだけでなく、マルタ国内での国際的な大型イベントとしても先陣を切ることとなる。それだけに同展が今後のマルタ国内におけるイベント開催の試金石として、国内外よりさらなる関心が寄せられることが予測される。

また、日本と同じく、マルタ国内でも市民の間にストレスが蔓延しているが、こういう時こそ芸術文化の出番と言えるだろう。日本の芸術や文芸は、2013年以降マルタとの交流において象徴的な役割を果たし、市民からも大いに歓迎されてきた。今年の再会を望む声も多く、この苦境の中で人々の心に再び希望の火を灯す役割が期待されている。

瀬戸健一郎会長(右)と共に(左:安広洋司・日欧宮殿芸術協会日本支局長)

なお、今回の総会後、日欧宮殿芸術協会・日本支局の安広支局長が、瀬戸会長と面談。今年9月の「日欧宮殿芸術祭2020」と10月の「日本ヨーロッパ北米三カ国合同交流展」(東京・池袋)の開催を伝えると、当協会の活動を激励すると共に、10月の展示会にぜひ来場したいとの意向を表明した。

まだまだ厳しい状況に変わりはないが、日本とマルタの間では、確実に潮目が変わりつつあることが明らかとなった今回の総会。両国の間で希望を持って奔走する人々の努力が必ず報われることを信じて、私たちも芸術と文芸の力を発信していきたい。今こそ文化の力が試される時なのだ。